7/06/2024

湘君・湘夫人@『九歌』と浦島物語。LoL








洞庭湖一帯では古くから歴史文学神話がはぐくまれてきたことで知られている。ドラゴンボートによるレースは洞庭湖の東岸に始まったとされ、その由来はこの湖に流入する川である汨羅江(べきらこう)に入水自殺した戦国時代詩人屈原の遺体を探し出そうとしたことにあるとされている。

北東岸にある岳陽楼(湖南省岳陽市)は杜甫の「岳陽楼に登る」をはじめ多くの詩人に詠まれ、范仲淹の「岳陽楼記」(先憂後楽の出典)がつくられたことで有名である。

昔は洞庭湖の中に浮かぶ島であった君山(くんざん)(zh)は、現在は岸とつながっているが、かつて多くの道士が隠棲しており、湘江の女神・湘君が遊んだところとして知られる。現在は君山銀針という希少な中国茶の産地である。岳陽楼付近から船で渡ることができる。

洞庭湖の南方の、瀟水と湘江が合流する一帯から洞庭湖にかけての景色は「瀟湘湖南」と称されて親しまれてきた。これに古代の帝王が葬られたとされている九嶷山を取り入れた景観もまたその美しさで知られ、多くのが詠まれてきた(劉禹錫の「瀟湘曲」など)。代から、このあたりの景観を主に八つの景色とし、瀟湘八景をテーマとした山水画を描くことが流行した。この方式が日本にも広まり、近江八景金沢八景などの元となった。




  【原文】
      湘君
    君不行兮夷猶  蹇誰留兮中洲
    美要眇兮宜修  沛吾乘兮桂舟
    令沅湘兮無波  使江水兮安流
    望夫君兮未來  吹參差兮誰思
    駕飛龍兮北徵  邅吾道兮洞庭
    薜荔柏兮蕙綢  蓀橈兮蘭旌
    望涔陽兮極浦  橫大江兮揚靈
    揚靈兮未極   女嬋媛兮為余太息
    橫流涕兮潺湲  隱思君兮陫側
    桂櫂兮蘭枻   斲冰兮積雪
    採薜荔兮水中  搴芙蓉兮木末
    心不同兮媒勞  恩不甚兮輕絕
    石瀨兮淺淺   飛龍兮翩翩
    交不忠兮怨長  期不信兮告余以不閒
    鼂騁騖兮江臯  夕弭節兮北渚
    鳥次兮屋上   水周兮堂下
    捐余玦兮江中  遺余佩兮醴浦
    採芳洲兮杜若  將以遺兮下女
    旹不可兮再得  聊逍遙兮容與

  【書き下し文】
湘君
君行かずして夷猶す。  蹇、誰か中洲に留まれる。
美しく要眇として宜修に、  沛として吾れ桂舟に乗る。
沅湘をして波無からしめ、  江水をして安らかに流れしめ、
夫の君を望めども未だ来らず、  参差を吹いて誰をか思ふ。
飛龍に駕して北に征き、  邅りて吾れ洞庭に道す。
薜茘の柏、蕙の綢。  蓀の橈、蘭の旌。
涔陽の極浦を望み、  大江に横たわって霊を揚ぐ。
霊を揚げて未だ極まらず、  女嬋媛として余が為に太息す。
涕を横流して潺湲たり、  君を隠思して陫側たり。
桂の櫂、蘭の枻。  氷を斲り、雪を積む。
薜茘を水中に采り、  芙蓉を木末に搴るごとく、
心同じからざれば媒労し、  恩甚だしからざれば軽く絶ゆ。
石瀬は浅浅たり、  飛龍は翩翩たり。
交り忠ならずして怨み長く、  期信ならずして余に告ぐるに間あらざるを以てす。
鼂に江皐に騁騖して、  夕べに節を北渚に弭むれば、
鳥は屋上に次り、  水は堂下を周る。
余が玦を江中に捐て、  余が佩を醴浦に遺て、
芳洲の杜若を采り、  將に以て下女に遺らんとす。
時は再び得べからず。  聊く逍遥して容与せん。

  【原文】
    湘夫人
    帝子降兮北渚  目眇眇兮愁予
    嫋嫋兮秋風  洞庭波兮木葉下
    登白薠兮騁望  與佳期兮夕張
    鳥何萃兮蘋中  罾何為兮木上
    沅有茝兮醴有蘭  思公子兮未敢言
    荒忽兮遠望  觀流水兮潺湲
    麋何食兮庭中  蛟何為兮水裔
    朝馳余馬兮江臯  夕濟兮西澨
    聞佳人兮召予  將騰駕兮偕逝
    築室兮水中  葺之兮荷蓋
    蓀壁兮紫壇  播芳椒兮成堂
    桂棟兮蘭橑  辛夷楣兮葯房
    罔薜荔兮為帷  擗蕙櫋兮既張
    白玉兮為鎮  疏石蘭兮為芳
    芷葺兮荷屋  繚之兮杜衡
    合百草兮實庭  建芳馨兮廡門
    九嶷繽兮並迎  靈之來兮如雲
    捐余袂兮江中  遺余褋兮醴浦
    搴汀洲兮杜若  將以遺兮遠者
    時不可兮驟得  聊逍遥兮容與

【書き下し文】
湘夫人
帝子北渚に降る。  目眇眇として予を愁へしむ。
嫋嫋たる秋風、  洞庭波だって木葉下る。
白薠に登りて望みを騁せ、  佳期を與にせんとして夕べに張る。
鳥何ぞ蘋の中に萃まれる。  罾何ぞ木の上に為せる。
沅に茞有り、醴に蘭有り。  公子を思ひて未だ敢へて言はず。
荒忽として遠く望み、  流水の潺湲たるを観る。
麋何ぞ庭中に食ひ、  蛟何をか水裔に為す。
朝に余が馬を江皐に馳はせて、  夕べに西澨に済る。
佳人の予を召すと聞き、  将に騰駕して偕に逝かんとす。
室を水中に築き、  之を葺きて荷もて蓋ふ。
蓀の壁、紫の壇。  芳椒を播いて堂を成す。
桂の棟、蘭の橑、  辛夷の楣、葯の房。
薜茘を罔て帷と為し、  蕙を擗いて櫋とし既に張る。
白玉を鎮と為し、  石蘭を疏いて芳と為し、
芷もて荷屋に葺き、  之に杜衡を繚らす。
百草を合せて庭に実たし、  芳馨を建んで門を廡ふ。
九嶷繽として並び迎へ、  霊の来たること雲の如し。
余が袂を江中に捐て、  余が褋を醴浦に遺て、
汀洲の杜若を搴り、  将に以て遠き者に遺らんとす。
時は驟得べからず。  聊く逍遥して容与せん。




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2 件のコメント:

  1. 時は再び得べからず
    噛みしめたい

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  2. Rock’n Cop (jap. 未来警察ウラシマン Mirai Keisatsu Urashiman; deutsch „Zukunftspolizei Urashiman“) ist ein Science-Fiction-Manga von Hirohisa Soda. Es wurde von Tatsunoko Productions im Jahr 1983 als Animeserie adaptiert. Neben Japan und Deutschland wurde Rock’n Cop unter anderem auch in Frankreich und Italien ausgestrahlt.

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