『地球へ…』(テラへ)は、竹宮惠子による日本のSF漫画作品、およびこれを原作とした派生作品。第9回(1978年)星雲賞コミック部門、第25回(1979年)小学館漫画賞少年少女部門を受賞。
概要
『月刊マンガ少年』(朝日ソノラマ)に1977年1月号から1980年5月号にかけて連載された。全4部構成。1995年には文庫化し、2006年の時点では10版まで出版されている。2007年4月6日には新装本が出版された。
当初は3回で終了する予定でスタート[1]し、第4話で一旦第1部が完結。その後、断続的に第4部まで3年半にわたり連載が続いた。竹宮は夢に見た“涙を流すナキネズミ”のイメージを元に第1部を描き、初期構想では第1部のみの短編にするつもりだった。また、当初は竹宮とメカデザイン担当ひおあきらとの合作になる予定であったが、「地球へ…」と同じソノラマのコンバトラーV単行本の締め切りをひおが半年遅らせており、担当が許可しなかったために合作は幻に終わった[2]。
マンガ少年に最終回が掲載されたのは1980年5月号で、その直後の1980年4月26日にアニメ映画が公開された。単行本化の際には、雑誌掲載の原稿に加筆、修正がなされた。第4部には大幅な修正が行われ、S.D.の解釈などが雑誌掲載時と異なっている。
あらすじ
現代から遠く離れた未来―S.D.(Superior Dominance:特殊統治体制、西暦3千数百年)の時代。人類はスーパーコンピュータ(人工知能)による完全な管理の下、子供を養育する惑星と、社会を営む大人の惑星とに分かれて住んでいた。
地球から遠く離れた植民惑星アタラクシアで育った少年ジョミー・マーキス・シンは、『目覚めの日』(=14歳の誕生日)の数日前から不思議な夢を見ていた。盲目の美少女と青年が会話している場面である。
そして『目覚めの日』、ジョミーは成人検査の最中に、夢に出てきた青年に助けられた。実は成人検査とは、社会人としての適性を検査し、過去の記憶を消され洗脳されると同時に、超能力を持つ新人類「ミュウ」を発見し社会から排除するためのものでもあった。“不適格者”(=ミュウ)と診断されたジョミーは抹殺されそうになるが、そこへミュウの手助けが入り、混乱の中ミュウの船へ迎えられることとなる。実はジョミーも自覚がないだけでミュウだったが、繊細なミュウには耐えられないとされる諸検査を、その強靭な精神力でことごとくクリアしていたのだ。
夢の若者の正体は、当代のミュウの長ソルジャー・ブルー。彼らは長年にわたりミュウへの人権付与を訴えてきたが、願いは叶わず、仲間を増やしつつ、統治機構がある地球を目指していた。ジョミーは最初は戸惑い、抵抗心剥き出しだったが、障害の補完として超能力を持つ他のミュウとは違って“健常者かつミュウ”であることから、新しいソルジャー(ミュウの長の称号)となるようブルーに請われ、彼の記憶と精神を受け継ぎ“ソルジャー・シン”となる。
一方、統治者候補で“無垢な者”としての養育を受け、執行機関「メンバーズ・エリート」の一員となったジョミーと同い年の青年がいた。彼の名はキース・アニアン。親友のサムなどとは違い、成人検査を受けた記憶も幼い頃の記憶も一切持たない彼は、様々な出来事の中で、徐々に自身の正体とミュウの廃絶の可能性の有無を見出しながら出世コースをひた走る。
この2人の接触は、十数年にもわたるミュウと人間の戦いと、地球の新時代の幕開けにつながる様々な事件を引き起こすこととなる。ミュウも人間も葛藤し、悩み、苦しみ、悲しみを味わいながら、戦いに身を投じていく。
はたして、ジョミーたちミュウは地球(テラ)へたどり着くことができるのか……?
世界背景
科学の発展により文明が高度化し、ワープ航法によって宇宙へ旅立つことができるようになった時代、「人類が地球を窒息させている」と結論付けた一部の人間の考えにより、人類の手ではもはや修復不可能なまでに進んだ環境破壊で生命滅亡の淵にある地球を再生するため、全ての人間がマザーコンピュータとともに植民惑星へ退去した。
人類は出生から成長、死に至るまですべてコンピュータによって完全に管理されていた。無作為に選び出された精子と卵子を受精させ、人工子宮により『赤ん坊』として生きられるようになると、無作為に選ばれた養親によって『目覚めの日』(=14歳の誕生日)まで安心かつ健全、しかも画一化された教育惑星で育てられる。『目覚めの日』前後になると、星のマザーコンピュータによって《成人検査》が行われ、今までの記憶の消去と地球人として生きるための知識の注入を受け、“大人”としての教育を受けるべく、さらに高度な教育が受けられる“エデュケーショナル・ステーション”に送られる。
しかし、成人検査をパスできない人もいる。また、この成人検査の過程で誕生するのは“大人”とみなされた人間だけではない。超能力保持者“ミュウ”も誕生させていたのだ。ほとんどのミュウは、感情過多などの兆候からESP(エスパー)チェックにより深層心理まで分析され、排除されてきた。だが、管理体制の実態を見抜き脱出に成功したミュウたちは集団を作り、人類にミュウの存在を認めるよう働きかけてきた。しかし、その願いは未だ通じていなかった。
登場人物一覧
括弧内は登場したのちの、最年少時から最後までの年齢である(原作のみ)。年齢が不詳な人物については記載しない。声の項は映画版 / テレビアニメ版の順。1人しか記載されていない場合は特記ない限りテレビアニメ版のキャストとし、それ以外のものは別途記載する。
原作
- ジョミー・マーキス・シン(13歳→45歳)
- 声 - 井上純一 / 斎賀みつき / 富山敬(ラジオドラマ版)
- 本編のミュウサイドの主人公。育英都市アタラクシアの出身。潜在的なミュウとして14歳まで生きてきた。感情過多であるため、幾度かESPチェックを受けてきたが、“無い”とまで自嘲する太い神経、タフな精神と潜在的な強い思念波のお陰で潜り抜けてきた。他のミュウとは違い、欠けている部分のない健常者であり、人類の太く短い生命力とミュウの細く長い能力を兼ね備えた存在であることからソルジャー・ブルーに見出され、余命わずかの彼の後を継ぎ、ミュウの新しい長『ソルジャー・シン』となる。そしてブルーの遺志を継いで、ミュウが長年目指してきた地球(テラ)へ向かうこととなる。
- 最初はその乱暴な性分から他のミュウたちに疎まれてきたが、様々な訓練や勉強を経てカリスマ性の高いリーダーになってゆく。その卓越した行動力と強大なESP能力で、仲間の危機を救うために飛び出すこともしばしば。また様々な経験を経て策士としての冷静さも兼ね備えるようになっていき、当初は反発されていたハーレイからも「戦士(ソルジャー)だ」と高く評価されるようになる。感受性が豊かなために感情を表に出しやすいミュウたちを懸命にリードし、まとめあげた。
- 14歳以降外見は変わっていない。途中、ナスカでの地球軍との衝突がきっかけで全失明・失語・失聴となり、それからはテレパシーでコミュニケーションをとっている(TVアニメ版ではそれらの喪失は免れている)。
- 長老たちはESP能力でバリアを張らなければならない惑星ナスカの希薄な大気にその強靭な肉体と精神力で適応した。また、地球でS.D.体制の敷かれた特別個室(室内の強烈なエネルギーに、長老たちばかりかトォニィすらも悲鳴を上げたほど)にも適応した。
- ナスカで安穏と生きる道を絶たれ、多くの同胞を助けられなかった悲劇は、遠回りしながらも、彼に『地球へ帰ること』の重要性を改めて認識させた。
- 破壊寸前のグランドマザーに精神を支配されたキースによって射殺される。最期の言葉は「キース、地球を頼む」。しかし、直前で精神が肉体から分離し、コンピュータ・テラを停止させたキースの「そこにいるんだろう?今度こそ俺を殺せ」という言葉を受け、苦痛を伴わないように殺す。
- 映画では、キースに致命傷を負わされるもののかろうじて生きており、二人でコンピュータ・テラの前に落ちる。最後の言葉は「キース、逃げろ」。
- TVアニメ版ではグランドマザーを破壊したものの、隙を突かれてグランドマザーの最後の攻撃で致命傷を負い、助けに来たトォニィを次期ソルジャーに任命した後果てた。最後の言葉は「箱の最後には希望が残ったんだ」。
- 名前は、原作者が読んでいたSF小説『スラン』(A・E・ヴァン・ヴォークト作)の主人公の名にちなんだもの[3]。
- キース・アニアン(15歳→45歳)
- 声 - 沖雅也 / 子安武人
- 本編の人類サイドの主人公。機械(マザー)の申し子、鉄仮面などと評されるエリートだが、喜怒哀楽のうち“怒”と“哀”の感情は誰よりも強い。ジョミーの最大のライバル。地球のどこにいても一目置かれ、一線を画される存在である。
- 育英都市トロイナスの出身となっているが、幼少時代の記憶および受けたはずの成人検査に関する記憶を一切持っていない。エデュケーショナル・ステーションでの教育を終えたのちは「メンバーズ・エリート」に選出され、その頭角を現して目を見張るスピードでエリートコースを昇進していく。ステーションでの教育課程からミュウと遭遇し、幾度も対決していくことになる。さらに、様々な事件のなかで幾度も葛藤を繰り返しながら、マザーが期待していたとおりの成長を続ける。そして、最終的には地球の総帥となり、ジョミーたちミュウの前に立ち塞がる。
- 20年近くにわたるミュウとの対決の中で、自身の出生の秘密やミュウ発生の原因が人類の遺伝子自体にあること、そしてその素因子の排除の可否、さらには地球そのものの秘密を知ってゆくこととなる。その中で、ミュウの女性フィシスに不思議な縁を感じるようになっていく。
- 背後に立った者を反射的に撃つよう訓練されている。
- 実は、フィシスの卵子を元に生み出された、遺伝子上の“フィシスの実子”。15歳まで人工子宮で育ち、知識は脳に直接刷り込まれていた。統治者候補たる「無垢なる者」の1人である故に養親はおらず、成人検査も受けていなかった。
- 1人の人間としても、1人の統治者としても、ジョミーとは対照的な存在である。マツカとサム以外に心を許せる存在がおらず、表面上は“地球国家元首”という究極の要職に就いても、2人のいない場所では常に孤独だった。
- 最後までジョミーをライバル視しており、ミュウの存在を認めながらも受け入れようとはしなかった。ジョミーがグランドマザーと戦っている時、彼の心も一緒に戦っていたというが、後もう一歩というところでグランドマザーの思念波に操られ、ジョミーを殺してしまう。正気に戻った直後、それまで心に燻っていた機械への疑念が爆発し、これまで従ってきたコンピュータによる自分の意思への介入を拒絶する。グランドマザーが破壊されたあと、コンピュータ・テラを停止させ、地球を自然のままにし、機械の管理から離脱することを選択する。その後、精神体として《生きていた》ジョミーの手で殺されることを望んだ。
- 映画版では人類側の敗北を素直に受け容れ、ジョミーたちミュウを勝利者として迎えようとする。原作同様グランドマザーに操られ光線銃でジョミーに致命傷を負わせるが、それを契機にグランドマザーへの反意を強固に弁明してマザーを停止させた。コンピュータ・テラのフロアでは、傍らのジョミーの避難勧奨に、誰の命令でもない自らの意志で死ぬんだと答えた。
- TVアニメ版ではグランドマザーの攻撃で致命傷を負い、死の間際にセルジュに地球軍の指揮権を託したのち、ジョミーと共に果てる。最後の言葉は「最後まで私は独りか…」。ただし、セルジュやマツカなどのキースを慕っている部下の存在を考えると、決して前二作のように独りではなかったようである。
- 2007年7月に行われた「テラFes2007」での質問コーナーによれば、名前の由来は“キム・ボール・キースン”という俳優の名から取ったと竹宮は語っている。このような名の俳優はいないので、『レンズマン』のキムボール・キニスンと取り違えている可能性がある[独自研究?]。
沖 雅也(おき まさや、1952年〈昭和27年〉6月12日[2] - 1983年〈昭和58年〉6月28日)は、日本の俳優。本名:日景 城児[2](ひかげ じょうじ)、出生名:楠 城児(くすのき じょうじ)。
大分県[2]別府市[1][3]生まれ。大分市立王子中学校、通信制の高校卒業[2][注釈 1]。日活出身[2]。JKプランニングに所属していた[2]。
身長183cm[3]。
自殺
1983年(昭和58年)6月28日の早朝、「おやじ 涅槃で 待つ」という遺書を残し、東京都新宿区西新宿の京王プラザホテル本館最上階(47階バルコニー・高さ170メートル)より警備員の制止を振り切って飛び降り、ビル7階の屋上プールに落ちて全身を強く打ち即死した。31歳だった[1]。その後の大阪での舞台公演『一心太助』では、日活時代顔立ちが似ているとされていた小林旭が代役を務めた。偶然にも沖が徳川家光役で出演していたドラマ『大奥』でも同日の放送で死を迎える設定であった[16]。また、『必殺』の制作局だった朝日放送は、逝去した週末深夜に追悼番組として沖のデビュー作『ある少女の告白・純潔』(1968年 日活 、森永健次郎監督、丘みつ子主演)を放映した。
ジョミー・マーキス・シン
返信削除Max Sin LoL
アカんお名前www
えーまたヤルの?テラ
返信削除国産アニメもネタがないんかな
地球寺
返信削除テラテラwww
We are angels! till Showa.
返信削除We are devils! thereafter.
ジョミー大西ww画伯ww
返信削除秋吉久美子も濃い〜w
返信削除